Priceの低迷と観客がダーツのパフォーマンスに与える影響について
今日は観客がダーツに与える影響について面白い記事を読んだのでキーポイントを抜粋して書いていこうと思います。
参考記事:
The Impact of Crowds on Performance – Darts Orakel Blog
導入
１ヶ月前のワールドチャンピオンシップ準々決勝でGerwyn Priceは休憩後にヘッドホンをつけて現れました。
Priceは2018年に行われたグランドスラムでのGary Andersonとの決勝以降観客からのブーイングの対象となっています。
Priceは2020から2021年にかけワールドグランプリ、ワールドシリーズ、ワールドカップ、ワールドチャンピオンシップ、そしてグランドスラム優勝とキャリアで1番活躍したシーズンを送りました。しかし、その優勝のほとんどがコロナによる無観客の時に行われた試合でした。
Priceの評判はグランドスラムを初めて制覇した2018年ごろから上がっていたので、コロナで無観客になってもならなくても優勝していた可能性があります。
しかし、Priceは2021年以降ランキングトーナメントは3大会しか優勝していなく、それら全てはテレビ放送されていないものです。ランキングに関係ないトーナメントは2回優勝していますが、それらの全てはイギリスではないところで行われている試合です。結果、コロナが落ち着き観客が通常通り戻ってきた2022年シーズンは、Priceにとって決していい年とは言えませんでした。
けれども、Priceは2022年の初め頃は怪我により大会に出場していなくまだ完全復帰していない可能性もあります。また、ダーツではないところにも自分のエネルギーや時間を注いでいるとの発言もしています。なので、観客ではなくこれらの影響によりパフォーマンスレベルが落ちている可能性も考えられます。
実験
Darts Orakelはドイツの大学と"観客がダーツのパフォーマンスに与える影響"について研究を行いました。
この実験は3つの環境
- 観客あり (ワールドチャンピオンシップなど)
- 観客なし (プレイヤーチャンピオンシップなど)
- 人工的な歓声 (2020から2021年にかけて観客が入っていないテレビ中継される大会で使われた歓声)
これらの環境が3ダーツアベレージとチェックアウトパーセンテージに影響があるのかを統計的に分析しました。
*この実験には観客の態度が選手に対してポジティブかネガティブ(Priceが受けているような)なものかは考慮されていない。
結果
3ダーツアベレージは観客なしを基準に
- 観客ありの試合は0.5点下がる
- 人工的な歓声の試合は0.5点上がる
0.5点のアベレージはパフォーマンスレベルにあまり影響があると考えにくいので、歓声と3ターツアベレージに大きな関係性はないです。
チェックアウトパーセンテージは観客なしを基準に
- 観客ありの試合は3.6%下がる
- 人工的な歓声の試合は2.5%下がる
この結果から見るに観客がいた方がチェックアウトパーセンテージが明らかに下がることがわかります。選手がダブルを打つときに観客がブーイングや口笛などを吹くので、パフォーマンスレベルが下がる理由の1つになると思われます。
Price個人の結果
Priceは観客ありの試合ではブーイングなどのパフォーマンスを邪魔する行為をされます。他の選手でPriceほどのブーイングを浴びる選手はいないので、データが少なく分析がとても難しいです。
なので今回は、PriceがPDCの中で悪役になってからの試合を3つの時間軸に分けてアベレージの分析をしました。
- 2018年の12月から2020年の3月 (問題となったGary Andersonとの決勝からコロナで無観客になるまで)
- 2020年の4月から2021年の10月 (無観客、人数制限された観客、または人工的な歓声だけ)
- 2021年11月から2023年2月まで (コロナが落ち着き有観客に戻る)
全ての時間軸で、観客なしの試合(プレイヤーチャンピオンシップなど)のアベレージはテレビ中継される試合(ワールドチャンピオンシップなど)と比べ0.61から0.71点高いです。
2の時間軸の、観客なしの試合とテレビ中継される試合のアベレージの差が1番少ないですが(0.61点)、0.61点と0.71点では大した差がないので観客の有無とパフォーマンスレベルに関係性はないと思われます。
まとめ
Price自身は観客のブーイングなどが邪魔に感じているかもしれませんがリサーチの結果、観客の有無は試合結果に大きな違いを生むレベルまでパフォーマンスを上げたりも下げたりもしないことがわかりました。
